【Players for Tomorrow】
浦和レッズに取材!「こころ」を育む活動!?

2017年9月28日

各種お知らせ

スポーツを通じた国際貢献・交流を支援している「スポーツ・フォー・トゥモロー・コンソーシアム」(以下:SFTC)のコンソーシアム会員に、実際に行なっている活動内容についてインタビューさせていただくこの企画。記念すべき第1回目は、浦和レッドダイヤモンズ(うらわレッドダイヤモンズ)株式会社です。
Jリーグに加盟するプロサッカークラブ、浦和レッドダイヤモンズ(呼称:浦和レッズ)の運営を行なっている会社で、浦和レッズは、埼玉県さいたま市がホームタウンの、熱狂的なサポーターが多いことで有名なクラブです。

今回お話を伺ったのは、浦和レッドダイヤモンズ株式会社 ホームタウン・普及部でハートフルクラブの活動を中心に取り組まれている山本理孝(やまもと まさたか)さん。ハートフルクラブとは、「こころ」を育むことをテーマとし、サッカーを通じてコミュニケーションを高める活動です。
山本さんは、元々ハートフルクラブの活動の1つであるハートフルスクールの会場、レッズランドの施設管理をされていました。その時、「なぜハートフルスクールに来る子ども達は、ずっと笑顔でサッカーができるのだろう」と思ったことから、その活動運営に携わりたいと伝え続け、2015年からメイン担当として働いておられます。

 

ハートフルサッカーの活動について熱く語ってくださった山本理孝さん

 その活動の中でも、2015年よりSFT認定事業となった「ハートフルサッカー in ASIA」について、お話を伺いました。
「ハートフルサッカー in ASIA」が始まったのは2007年。浦和レッズがAFCチャンピオンズリーグへ出場したことをきっかけに、試合に出て戦うだけではなく、現地の子ども達との交流も一緒にできたらいいという思いからスタートしました。
これまでの活動は、開催国の小学生や現地の日本人学校の生徒を対象に、2016(平成28)年までで、タイやインドネシア、ミャンマーなど、計14の国と地域(延べ27回)を訪れています。
サッカーの実技だけを教えるのではなく、まず講話から始まるところが、他のサッカークラブと異なる点。講話では、落合弘キャプテンが、サッカーを通じて、「思いやり」がより子ども達に芽生え、更に「こころ」が育っていくことを願って、お話をされます。
訪れる現地の子ども達は全くと言っていいほど、「浦和レッズ」の名前を知らないそうですが、「それはそれで楽しいし、もっと名前を知ってもらう機会にもしていきたい!」と意気込みを語ってくださった山本さん。

 

落合弘キャプテンによる講話を集中して聞く、タイ・チェンマイの子ども達。

 敢えて国際展開を行っている理由は、日本文化を海外の子ども達に知ってもらいたいし、海外の子ども達から学んだことを日本に持ち帰り、ホームタウンである埼玉県の子ども達に伝えたいから。海外の子ども達の行動から学んだことで、今でも埼玉県の子ども達に伝え続けているという感動的なエピソードも伺うことができました。

それは、2014年「世界一幸せな国」と呼ばれているブータンでの活動から。
〜3人のブータンの子ども達に「普段は運動靴だけど、今日は特別な日だから、スパイクを履いてサッカーをやっていいですか?」と聞かれた浦和レッズのコーチは「もちろんいいですよ」と答えました。スパイクを持っているなら、普段からサッカーをやっている子だろうと思ったコーチは、レベルを見るために、足元を見ていました。ところが、質問して来た子どもは3人だったはずなのに、チームの中でスパイクを履いている子どもは6人いたそうです。〜

「どういうことかわかりますか?」と山本さん。

なぞなぞのようなエピソードの真相は、スパイクを持っていた3人の子ども達が1足ずつ、別の子にも渡したから。自分以外の子にも「楽しい気持ち」を分けてあげたい!と、他人に分け与える行為を自然にしているブータンの子ども達。
物質的に豊かな国は、誰よりも先にニューモデルや、人気ブランドのスパイクが欲しい!と思う子ども達も多いはずです。
「まずは物やお金ではなく、心が大事だということが、特に開発途上国と呼ばれる国に行くと伝わってきます。例え今は理解できなくても、大人になって思い出してくれればいいという気持ちで埼玉県の子ども達に話しています!」と山本さんは熱く語ってくださいました。

 

「楽しい時間はみんなで共有したい」とスパイクを1足ずつ履くブータンの子ども達。

 また、先月山本さんも訪問されたというタイ・チェンマイにある「バーンロムサイ」での、子ども達の友情にも感動しました!「バーンロムサイ」は、HIVに母子感染した孤児達の生活施設。以前はその地域の村人から、距離を置かれていた孤児達でしたが、村の子ども達と交流するきっかけの1つに「ハートフルサッカー in ASIA」の活動がありました。
サッカーを一緒にして、汗だくになった後、一緒のペットボトルで水を飲んでいたという村の子ども達と孤児達。昔に比べてHIVに関する知識がきちんと認識されてきてはいますが、現実はまだまだ偏見の目が絶えない世の中。しかしそこには偏見という壁はなく、サッカーを共にプレーした仲間として打ち解けていた子ども達がいたそうです。サッカーというお互いのゴールに向かって、気持ちを1つにするスポーツだからこそ、その空間に特別な一体感が生まれたのかもしれません。

サッカーは、チームメイトがシュートを打ちやすいように、パスを出す場所を考えなければなりません。それを一言でまとめると「思いやり」。普段の生活でも、相手の立場になって行動ができるように、サッカーを通じて心を育てていくことが、ハートフルクラブの活動ですが、最終的な目標はなんと「ハートフルクラブがなくなること」!?どういうことか尋ねると、「簡単ですよ。みんなが思いやりの心を自然に持てるようになれば必要なくなります」と山本さん。
サッカーを手段と捉えて、「こころ」を育むきっかけを与え続けている浦和レッズ。埼玉県を軸に、ハートフルな輪がアジアを超えて、更に世界に届く日はそう遠くないはずです。

取材・文=大石 百合奈

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