【Players for Tomorrow】
カンボジア運動会から学ぶ教育方法とは!?

2017年10月24日

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 「自分はどう思われてもいいから、その場にいるみんなが楽しんでくれることが一番です!」なかなか自分の殻を破ることは難しいけれど、カンボジアでのある経験が自信につながっていると話してくれたパッと明るい笑顔の女性。ある経験とは一体どんな経験なのでしょうか!?

 スポーツを通じた国際貢献・交流をしている「スポーツ・フォー・トゥモロー・コンソーシアム」(以下:SFTC)のコンソーシアム会員に、実際に行っている活動内容についてインタビューさせていただく企画。第2回目は国際武道大学(千葉県勝浦市)のカンボジア運動会について、お話を伺ってきました。

 素敵な笑顔の女性は、上原真莉さん。国際武道大学の3年生です。将来地元沖縄の高校で保健体育の教師として働くために同大学に入学。元々、大勢の人が集まる場所でその場を盛り上げることが好きだった上原さんは大学1年生の時、同じく沖縄出身の先輩に誘われたことをきっかけにカンボジア運動会の活動に参加することを決めました。その年に行ったカンボジアが上原さんにとっては初の海外渡航となり、2年生の時も参加し、今年はリーダーとして3回目の活動に参加する予定です。

 


取材中も常に笑顔で答えて下さった上原真莉さん。

 カンボジアで行う運動会は年1回の活動で2週間の滞在に対し、準備期間は約5ヶ月間。現地の子ども達が楽しんでいる姿を想像しながら、次々と出てくる課題を対処していきます。先生から特別な指示はなく、学生主導で考えなければなりません。参加するメンバーには、それぞれ役割が与えられます。上原さんはこれまでに中古品係とSNS係の担当を経験しました。

 中古品係では、カンボジアへ持っていくための、体育用具を学校などから頂く際に渡す依頼書を作成。「中古品」とは、部活や体育の授業では使えなくなってしまったけれど、まだ充分に役割を果たせる用具のこと。例えば、型落ちしてしまって体育の授業や部活では使えないようなバレーボールや、番号が揃っていないビブス(ゼッケン)などです。昨年はバスケットボール、バレーボール、サッカーボールがそれぞれ30球前後集まりました。協力してくれたのは、学生達の母校。渡航後は、カンボジアの子ども達と撮った写真を貼った色紙と共に、母校に報告に行きます。

 SNS係は、ホームページやフェイスブックなどにカンボジア運動会の様子、準備の様子などを載せる役割。カンボジア人はYouTubeが好きな人が多いことから、体育やスポーツの情報が目で見てわかりやすい動画を載せています。「今日は運動会の種目を考えました」というような運動会に向けた準備に関する投稿や、実際の体育の授業を30秒程度映した動画も載せているとのこと。

 去年はフンセンカオン小学校、オーチュラウ小学校、アヌワット小学校の3校を訪れました。訪れた現地の小学生にとっては、1年に1回の行事。日本から持ってきたバレーボールを使った玉送りや、大玉転がし、学年ごとに難易度が上がる玉入れなど、その日のために上原さん達が一生懸命考えた種目を夢中で行います。中でも一番人気の種目は、綱引き。綱を運動場に出すだけで、「絶対に勝つぞ!」という雰囲気に包まれ、大盛り上がりなんだそう。

 


皆で力を合わせて大玉転がし。子どもの目線でサポートする上原さん。

 上原さんに「カンボジア運動会で印象に残ったことはなんですか?」と聞くと、「運動会が楽しくて、何回でも参加したい!と思ってくれた子がいたことに、感銘を受けました!」とはっきりした答えが返ってきました。カンボジアは学校数に対して子どもの数が多いので、同じ授業でも午前クラスと午後クラスに分かれています。午前クラスの運動会に参加した子どもが、午後クラスの運動会にも知らないうちに参加していた!なんてことがあったそう。それだけ楽しんでくれたということは、今までの準備が報われた瞬間です。特に、子ども達が目を輝かせて喜ぶのは、メダルを手にした時。メダルは、国際武道大学の卒業生が教師をしている小学校の児童達お手製、折り紙メダル。裏には「おめでとう」の文字が並ぶので、カンボジアの子ども達も日本の文化に触れることができます。

 


日本から持ってきたサッカーボールとお手製メダルを下げている子ども達。

 「実際に現地に行ってみないとわからないことはたくさんあります!」と上原さん。これでもかとオーバーリアクションで、子ども達に体操の見本を見せても、同じように動いてもらえずに悩んだことも。「なぜここまで大きく動いているのに、理解してもらえないのだろう?」その答えは上原さんが子ども達と正面に向かい合って見本を見せていたから。カンボジアはまだ体育が十分に根付いていないので、鏡越しの動きをする経験がなく、日本の様に先生と児童・生徒が向かい合って真似をする文化自体がないそう。

 「そういう文化の違いを知ることができるのも楽しいです。例え上手くいかなくても笑顔でいること、まずは自分が楽しんでやることを心掛けています」とキラキラした表情で話す上原さんを見て、カンボジアの渡航に同行している先生から一言。「カンボジアで経験したことは、日本の児童・生徒に教える時にも共通する重要な経験です。例えば、何を教えるにしてもまずは楽しく!これってなかなかできる人少ないんですよ。でも彼女には意識の変化が現れているから、他の学生の模範となってほしいと思っています」

 「そんなこと初めて先生に言ってもらえたから嬉しいです」と照れる上原さんは、「印象に残る教育実習の先生になりたい!」と地元沖縄の高校で行う教育実習にも意欲を燃やしていました。カンボジアの子ども達が楽しめるようにと一生懸命考えて動いた運動会の経験が、日本でも彼女を“印象に残る先生”に変身させてくれるに違いありません。

取材・文=大石百合奈

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